ワークショップ / NPO法人 こどもの広場もみの木

子どもとワークショップ vol.1

2015/5/31

今年度はじめてのワークショップ初日、小さい子どもたちは戸惑い、大きい子どもたちは落ち着かない様子。
子どもたちはまだ幼くて、ひとりひとりがこのワークショップをどう受け入れていくのか予想しにくく、
先週末に大きい子どもたちと「とにかくやってみよう」と話しました。
このワークショップは、もみの木園の子どもたちの日常に触れていただき、舞岡の自然のなかで、
子どもの内なる自然を見つけていくことをテーマにしています。
相手は子どもですから、おとなの予想をはるかに超える存在です。
今日も朝から、ひとりひとりの「思い」が出続けていました。
いつもと違う様子をじっと見つめる視線があっちからもこっちからも…。
困って身を隠す人もいました。一番小さい人は離れた所で座り込んで泣き出しました。
少し高い所から、集まったみんなを眺めている人もいました。そのうちに「名前を呼んで!」と子どもたち。
一緒に過ごすお互いを紹介しあった後、一番落ち着くおおなばの丘へ向かった子どもたちは、自分のやるべきことをやり始めました。
リュックを置いて、大きな桜の木に登る人、桜の実を集める人、丘を駆け回る人、枝を探している人、石に登る人、草花を摘む人…。
ひとりひとり、自分が見つけたことを始めるこの時間がとても大事です。
参加者の子どもたちも思い思いに動き出し、遊びに向かう気持ちがふくらんでいく様子が伝わってきました。
子どもたちって、からだを動かすと遊びが始まると言っていいほどです。遊びは、子どもの思いそのもの。
遊びのなかで子どもたちは、普段の自分よりも頭ひとつ背伸びしていると言われています。
今日、こんなことがありました。桜の木に登り、太く伸びた枝にまたがって枝先を目指す子どもたちのなかで、
突先にたどり着くと立ち上がった人がいました。年長クラスのIちゃんとNちゃん(共に5歳)。
この4月以降、誰もやらなかったことで、ふたりを目の前で見ていたJくん(4歳)は、瞬時に自分もやってみたいと言いました。
しかし、Jくんにとって枝の上に立ち上がるということは簡単なことではありませんでした。
上半身を枝の先に伸ばしただけで「こわい!」とうろたえ、手も足も出ないまま長い時間そこにいました。
立ち上がりたいという思いが強いから、そこに居続けたのでしょう。表情は真剣そのもの。静かにもがいているといった感じ。
迷い続けた後に、「あきらめる」と言って下りてきました。こんな出来事があっちでもこっちでも起こっていました。
子どもを知り直し、子どもから学ぶ、この森のようちえんワークショップに向けて、子どもたちひとりひとりの世界を
尊重して臨んでいきたいと、決意を新たにした初日でした。                           
 
(尾上陽子)

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子ども同士 Vol.2

2015/6/1

昨日も今日も参加者の子どもたちが、よく動きよく遊びました。
朝の出会いの時から、ひとりひとりが楽しむ気持ちで集まってきている様子が何よりでした。
もみの木園の子どもたちも、昨日の経験からやるべきことが分かったようでペースが戻ってきたようです。
また今日は、卒園した小学生4人が学校の代休で遊びに来ました。
昨日も卒園生が田んぼで田植えをした後、お昼に合流したのですが、この2日間、2歳から小学生まで
子ども同士としてつながり、一緒に過ごすことが出来ました。幼児だけでも面白いのに、小学生が加わったので、
ちょっぴり幅広い子ども同士の関係が生まれました。  
子どもは子どもを見ている…今日も2歳から11歳の子どもたちが、お互いを見ていました。こんなことがありました。
タオルをボールのように丸めたものを長い麻ひもにつけ、2歳のKくんの手に届きそうな所に木の枝からぶら下げて、
木に登ったお兄さんたちが、麻ひもを上下に動かすのです。小さなKくんが、背伸びをし精いっぱい手を伸ばして
ボールをつかもうとするのですが、届きそうで届かない。しかし諦めないKくん。すると次の瞬間、ボールはKくんの手に!
こんな遊びが生まれていました。お兄さんたちも、Kくんも楽しんで何度も繰り返して遊びました。
周りにいる人たちもこの遊びに引き込まれて仲間入り。楽しさを共感しあう場で、みんなが生き生きしていました。  
水場ではコップに入れた水を頭からかぶる遊びに夢中になった子どもたちが、嬉々として遊んでいました。
水は丘のなだらかな斜面を川のように流れていき、その流れのまわりに子どもたちが戯れて遊んでいます。
遊びはいくらでも広がっていきます。
もう帰る時間になったとき、Rちゃん(3歳)がお母さんと一緒にコップを借りに来ました。
みんながやっていたコップに水を入れて頭にかける〝あれ〟がやりたかったのですね。最後に残ってやり遂げた行動力は立派でした。  
帰り道、子ども同士が響きあって遊んだ満足感からか、ひとりひとりが堂々として見えました。
その道すがら、ばらの丸の丘に登ったところで、後からやってくる人たちを待っていたときのこと。
Rちゃんが、杭と杭をつなぐロープに腰掛けたとたん、ごろんと転がりました。
それを見て、同じように座ってはごろん、ごろんと転がる子どもたち。2歳から小学生まで、同じことをしているではありませんか。
面白くてみんなで大笑いしました。面白そうと思ったら、すぐにやってみる子どもたち。きっと心が開放されているのだろうな。
〝子ども同士〟の威力に心惹かれ続けた1日でした。

(尾上陽子)

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雨の中を歩く Vol.3

2015/6/3

今日は本降りの雨でした。
けやき広場の東屋で身支度を整えて、今日の参加者で一番小さい1歳4ヵ月のUくんの歩調に合わせて出発しました。
レインコートだけで、からだに雨を受けて歩くのは、生まれて初めてという人もいたと思います。
水たまりを歩く子どもが、まるで池の中を歩いているようでした。目指すは田んぼの上屋。
先頭で到着したFくん(3歳)は、すぐにレインコートを上下とも脱ぎ捨てました。
ここでひと休みしたあと、今度は瓜久保の家へ向かうため、再び出発の準備に取り掛かりました。
するとFくんがレインコートを絶対に着ないと言い出しました。雨は降り続けています。
「リュックは背負って長靴も履くけど、レインコートは着たくない。このまま行く。」とFくん。
駄々をこねているのではないきっぱりとした態度で「大丈夫だから」と言っているように聞こえ
「じゃあ、このままでね。」と私も了解しました。不思議なのですが、雨に濡れるのは平気なのに、
もうすでに濡れたリュックに手を通すのがイヤだと困っています。そこでリュックは私が引き受けることにして、
Fくんは軽々と雨のなかに飛び出して行きました。Fくんの周りにみんながやってきて「あれ?背中もお腹も濡れてないよ!」
「不思議!どうして?」「雨降ってるのにどうして濡れないの?」と口々に言い合っています。
Fくんは「頭は濡れてるよ!」と輝く笑顔で言いました。
面白くてたまらない様子でウキウキしながら歩いて行くと大きな水たまりがありました。
今日、遊びに来てくれたMちゃん(4歳)は、水たまりを見たとたん、大喜びでバシャバシャと力一杯ジャンプしたり、
水しぶきを蹴散らして楽しんでいます。それを見たFくん、歓声を上げて水たまりに突入。
Mちゃんみたいにジャンプしてバシャバシャやっています。こんなこと初めてです。
他の子どもたちも次々と水たまりに引き込まれ、水しぶきを上げて喜び合っていました。
瓜久保の家についたとき、Fくんのからだは全身びしょ濡れでしたが、満ち足りた表情で自分で着替えを終えました。
瓜久保の家に到着した子どもたち全員が、レインコートを着ていても袖口や首まわりが濡れており、
長靴の中もびしょ濡れだったので上から下までみんなで着替えました。びしょ濡れ状態の全員の着替えは大変です。
参加者の皆さんに手伝っていただき助かりました。
それにしても、初めて雨の中を1日歩いた子どもたちに感心するばかりでした。
帰り道も雨、すでに午前中の経験を糧に余裕のある姿に見えました。
そんな子どもたちを見て、改めて雨は困難じゃないんだと思いました。
雨と遊べるいい季節、今度Fくんのようにレインコートを着ないで、雨の中を歩いてみようと子どもたちと約束しました。      

(尾上陽子)

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子どもとともに「今」を大切につくる Vol.4

2015/6/4

昨日の雨がやみ、今日はさわやかな晴天。昨日、雨の1日を一緒に過ごした皆さんと今日も、もう一度会いたくなりました。
それほど昨日は特別な1日でした。  
いろいろな天候を丸ごと受け入れていく暮らしのなかでは、「ゆっくりする」時間が増えていくはずです。
同時に「がまんする」ということも増えるのではないでしょうか。人として自然な営みを大切にする暮らしのなかで、
子どもは自分を律する力を得ていくように思えます。  
晴れの日も雨の日も、子どもとともに「今」を大切につくるのが保育の仕事です。
今日もワークショップ参加の子どもたちがよく遊び、子ども同士のかかわり合いもたくさん生まれました。
初めて参加したAKちゃん(4歳7ヵ月)は、一番小さいABちゃん(2歳)と手をつなぎ、一緒に歩いてくれました。
RKくん(3歳3ヵ月)は木登りをしたいとやってきました。もみの木園の子どもたちは、木登りは任せて!とばかり、
ちょうどいいもみじの木にRKくんを誘って登りました。木に登るということは、子どもにとって全身で新しい感覚を味わうことです。
おまけにいい所を見せようと張り切っているお兄さん、お姉さんと一緒に登ったことも刺激的だったでしょう。
その後「リスが見たい」とRKくん。すると子どもたちがあっという間に集まり、RKくんを連れてリスを探しに出かけました。
ずいぶん長い時間、あちこち探したようですが、残念ながらリスには会えなかったと戻ってきました。
もみの木の子どもたちは「毎日会えるのに、どうして今日は会えないのだろう」「RKくんにリスを見せたかった」と残念そう。
思い通りにいかないもどかしさを味わい、がまんして自分を収めていく。これも大切な「今」なのです。  
さて今日は、もうひとつお楽しみがありました。もみの木園を卒園したMKちゃん(小学2年)が小学校の全校遠足で舞岡公園に
やってくるとのこと。もみじ休憩所で遊んでいると、小学生が続々とやってきました。
そのなかにMKちゃんを見つけることが出来て、 みんな大喜びでした。出かけた先で仲良しの人に会えるのは、本当に嬉しいもの。
舞岡公園は、かけがえのない人との出会いを、 たくさん経験させてくれる場所なのです。
もみの木園は園舎を持たず、舞岡公園など貴重な自然が残る里山を拠点にして、子どもたちを育てていこうと取り組み、
今年で18年目になります。ささやかではありますが、保育のあり方を〝子どもにとって〟という視点で探求し、実践してきました。
その保育の場にお誘いしてのワークショップも15回目になり、皆さんと子どもたちを見ながら、舞岡公園を歩ける幸せをかみ締めています。
明日の最終日にも、皆さんとどんな発見をし合えるのか楽しみです。   

(尾上陽子)

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頭ひとつ背伸びしている子どもたち Vol.5

2015/6/5

このお便りの1ページ目で「遊びのなかで子どもたちは、普段の自分よりも頭ひとつ背伸びしていると言われている」とお伝えしました。
子どもたちは、遊びのなかで普段の自分より背伸びした自分を、どう感じ、どう味わっているのでしょうか。
頭ひとつ分というのも、とても大事に思えます。今日の子どもたちの遊びから考えてみようと思います。  
朝出会ったばかりのRYくん(2歳7ヵ月)は駆け回るJくん(4歳)を追いかけて、ぐるぐる駆け回りました。
面白くてどんどんスピードが上がり、Jくんが後ろを振り向くと、RYくんがぐんと接近するのですが、
追いつきそうで追いつかない… ふたりは共鳴しあって走っていました。ただ走っているだけで、
こんなに楽しいんだと誰もが思いました。 ふたりは自分の持っている力を上回る力で走り続けているように見えました。
しかし倒れこむほどではなく走り続けられる力を調整しているから、延々と遊び続けられるのでしょう。  
こんなこともありました。中丸の丘の階段状の草っぱらで、ABちゃん(2歳)が、ごろんごろんと転げたり、
階段をジャンプしたり、 それはそれは楽しそうに遊んでいました。
するとTちゃん(2歳11ヵ月)がABちゃんと響きあうように、一緒にからだを動かし始めました。
初対面なのに、お互いに一緒に動きあうのが楽しくてたまらない様子で、笑顔が輝きっぱなしです。
ふたりの動きは次第に大胆になり、 少々つまずいても軽々と立ち上がります。遊び心がふたりを強くしていったのでしょう。  
丘の上の水場では、今日も水遊びが始まっていました。驚いたのはEくん(5歳)が、まず最初に服を全部脱いで遊び始めたのです。
昨日もここで遊びましたが、Eくんは服は着たままでした。昨日から今日へ、遊びに向かう気持ちが普段の自分より頭ひとつ
高まっていたのでしょう。見ると、Eくんと一緒になってHくん(4歳)、KKくん(2歳)も全裸になり、
水の流れに心を解き放し、 楽しさに浸って遊んでいました。  
この3つの場面から、遊びは普段の自分を上回る力強さを子どもから引き出しているということ、
やり始めたことが子ども同士の共感を生み、楽しさを持続させ深めていることが伝わってきます。
遊びを終えると子どもは、もうすでに朝の自分ではない、自分のなかに新しい力が備わっていることを知っているのです。
こうして遊びのなかで起こった変化(高揚した気持ち、分かち合った楽しさなど)を自分のものにしながら、
子どもは明日へ向かって生きる力を育てていくのでしょう。

(尾上陽子)

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Square_wht_Right.png過去の森のようちえんワークショップ便りは以下よりご覧頂けます。

第20回 / 第19回 / 第18回 / 第17回/ 第16回 / 第15回 / 第14回 / 第13回 / 第12回 / 第11回 / 第10回 / 第9回 / 第8回 / 第7回 / 第6回

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