ワークショップ / NPO法人 こどもの広場もみの木

子どももおとなも嬉しい出会い Vol.1

2019/5/26

まだ5月なのに初夏を思わせる朝、約束の場所に、参加者の皆さんともみの木園の子どもたちが集まって、今年も森のようちえんワークショップが始まりました。昨年12月に入園したRくん(2歳)とって、初めてのワークショップ。集まった顔ぶれが違うことに気づいたりくくんは、少し離れた場所からみんなを見ていました。しばらくすると、みんなのそばに自分からやってきました。「みんな、いたんだね」と言わんばかりに安心した表情になっていました。誰もが小さいながらも、自分で判断していることが受け取れます。 参加者の子どもたちも、ひとりひとりが堂々と立っていて、ここで遊ぼうとやって来たんだなと、その思いを全身で表しているように見えました。何度も遊びに来てくれる子どもたちとの再会もうれしいことでした。ちょうどクワの実が色づき美味しそう。お父さんの参加者の方々に手を伸ばして取ってもらって食べました。生まれて初めての人もいたことでしょう。ばらの丸の丘から田んぼに下りるところで、アリの行列を見つけた子どもたち。小さい生き物に心を寄せて見入る子ども同士も、お互いに気持ちがぐんと近づき、場を共有し合っていました。ダンゴムシも毛虫も、見つけると集まる子どもたち。畦道を歩く頃には勢いが出てきて、田んぼが一気に賑やかになりました。畦道は、子どもたちを育ててくれる大事な場所です。一歩一歩進んでいくと、いつの間にか水車小屋へ。そして日照りの道が暑くてつらかったのですが、みんなよく歩きました。途中、大きな丸々太った青虫を見つけたKくん(5歳10か月)が、この青虫を見つけた驚きを、みんなに知らせたくて、最大の叫び声を上げて、知らせてくれました。恐れも含めてびっくりしたことを、こんな風に表現する力を持つKくんの声に、まわりのみんなも驚き、その青虫のまわりに集まってきました。発見する何もかもが、子どもの体の中にしみ込んでいくようです。長い道のりを歩いて瓜久保の家に到着。お弁当を食べて、かっぱ池に行ってみました。池の周りの高い木々を見上げると、白いチョウが数えきれないほど、まるで森の妖精のように、ふわふわと飛んでいました。池のほとりには、相撲を取っているかっぱの像もあり、ここでも新たな遊びが始まりそうでしたが、帰りの時間が来てしまいました。帰り道は、今日の出会いが嬉しくて、子どもたちは、参加者のお父さんたちやお母さんたちに甘えたり、手をつないでもらったり、子どもたちもお互いに楽しかった気持ちを分かち合って、「また会おうね!」とお別れしました。こんな風に子どもたちのペースを大切にして、ひとりひとりを優しく見守り合うおとなたちの力に、敬服しました。 

ページtopへ戻る

子どもの力 Vol.2

2019/5/27

今日も、新しい出会いが嬉しい一日でした。今日は、ある幼稚園が代休だったそうで、年長の仲良し3人組の子どもたちが参加してくれました。彼らがまず感じ取ったのは、きっと舞岡公園の自然の心地良さだったでしょう。歩き始めて間もなく、もみじの新緑の中に、たくさんの赤い竹とんぼのような種を見つけ、すぐに心を動かしていく様子が伝わってきました。一緒に参加している弟や妹のことも、いろいろ話してくれました。初対面でも、早い時間からお互いに知り合って、今日一日、「どうぞよろしく!」と気持ちが行き交う安心感を味わいました。 もみの木園の子どもたちは、毎日よく歩きます。この4月に仲間入りした2歳になったばかりのRYくんも、5月始めに2歳になって入園したAちゃんも、自分のペースで歩きます。もみの木園の保育は、歩くこと、動くこと、遊ぶことが基盤となっています。これらの前に、「自由に」という言葉をつけてみると、どうでしょうか。「自由に歩く」「自由に動く」「自由に遊ぶ」…こうしてみると、また違った印象を持たれるのではないでしょうか。この「自由に」が大事です。自分の足で、自分が行きたいほうへ歩く。自由にからだが動くこと自体が楽しい。やりたいことが見つかる。「みつけた!」「なんだろう?」「おもしろい!」「うれしいね!」「もっと!」…こうして始まる自由な遊びの世界には、友だちがいて、子ども同士の気持ちのやりとりが生まれます。今日は、小さい子どもたちの素敵な出会いがありました。Nちゃん(2歳2か月)は手をつないだTくん(5歳)に安心して、中丸の丘までの往復を一緒に歩きました。まだ小さいのに、歩き始める時「Tくんと!」と呼び求め、ふたりで手をつないで歩き通しました。Tくんも、Nちゃんに頼りにされることが嬉しくて、ふたりで気持ちを寄せ合って、しっかりと歩きました。一番最後にYUちゃん(4歳)を先頭に、Rくん、RYくん、Mちゃんのお母さん、Mちゃん(2歳)が電車ごっこで帰ってきたのです。みんなが、拍手で迎えました。すごく時間がかかったのですが、5人がいい顔で到着したのは、きっとその電車ごっこのつながりが楽しかったのでしょう。到着後、RYくんと手をつなごうと、Mちゃんが手を差し出しました。RYくんは、とっさに逃げました。それでも、Mちゃんが追いかけてきたので、RYくんは、にこにこ笑顔で振り返り、電話ボックスのところでMちゃんを待って、Mちゃんの手とつながりました。小さなふたりの手がつながる瞬間に立ち会えた人たちみんなが、喜びました。子どもは、こんな小さい時代から人を求める力、それを受け入れる力を持っているのですね。 

ページtopへ戻る

どっかいこうか、どっかいこう! Vol.3

2019/5/30

月曜日に前半2日間のワークショップを終えて、翌日火曜日は、もみの木園の田んぼの代かきでした。4月に田起こしした田んぼに水をためて、土とかき混ぜる仕事が代かきです。田んぼ足袋をはいた子どもたちは、恐る恐る田んぼの中に入り、土が細かく軟らかくなるように歩き回ります。最後に長い丸太を引く人、押す人が力を合わせて、田ならしをしました。子どももおとなも全身泥だらけで踏ん張って、牛のように進みました。田んぼの隅から隅まで平らになって、田植えの準備が終わりました。この日の子どもたちの仕事ぶりに、おとなたちは「いい代かきだったね」と感動。2歳の子どもは、畦道でみんなの仕事を見ていました。1年毎に自覚が芽生え、田んぼに入ることを自分で決めて挑む姿にも出会え、そんなひとりひとりの決意が尊く感じられました。田んぼに限らず、未知の世界に踏み込む子どもたちは、そのつど、心の中で、大きな決心をしているのです。このワークショップに参加した子どもたちも、自分から遊び始める時に、心の中が大きく動いているはずです。こうして代かきを終えて、今日はワークショップ3日目です。実は今朝、どこで遊ぼうかと子どもたちに相談すると、多くが「もみじの広場」と言いました。しかし、KOちゃん(5歳)はひとりだけ、「おおなばの丘がいい」と言いました。まわりのみんなは「もみじがいい」と一斉に。それでもKOは「おおなばがいい」と大きな声で訴えました。どうなるかなと見守っていると、Sちゃん(4歳)が「♪どっかいこうか、どっかいこう。どーこにしようか、そうだね…」(松居スーザン詩)と歌い始めたのです。その歌に合わせて、他の子どもたちも歌っています。その場にいたKOちゃんの表情がみるみる和らぎ、くるっと向き直って「もみじでいいよ。」と明るい声で言いました。その声を聞いて、子どもたちは、もみじの広場に向かいました。KOちゃんは、後で「5歳になったから」と教えてくれました。大きくなったから、もみじに変えてもいいと思ったそうです。KOちゃんは、ちょうど1週間前に5歳になりました。もみじの広場では、参加者の中で一番小さい6か月の赤ちゃんが、木陰で気持ち良さそうにお昼寝している間、子どもたちは原っぱから木立の中へ、さらに階段を下りてぐるっと回ってくる一帯を広々と使って遊びました。木にも自由に登っています。この日、Tおばちゃんが、揚げパンのおやつを持ってきてくださり、子どもたちは大喜び。最後に残った砂糖を、袋を抱えて食べ尽くしたのは、Fちゃん(3歳)でした。その後、田んぼでお弁当。代かきを終えた自分たちの田んぼを見て、思わず「きれい!」と歓声が上がりました。 

ページtopへ戻る

遊びがわき起こる Vol.4

2019/5/31

ワークショップの4日間、毎朝、みんなで飲んだ小梅のジュースについて。すみれぐみ(年中・年長組)が10日前に小梅と氷砂糖とお酢を容器に入れて、ワークショップのお客さんにごちそうしようと作ったもので、美味しいジュースが出来るのを待ちました。「おいしい!」「お代わり!」という声が嬉しかったです。おやつのふかし芋も、皆さんと一緒に。一切れの美味しいお芋を、みんなが集まって食べられて、幸せな気持ちになりました。 今日も、さわやかな良い天気、おおなばの丘で遊びました。すぐに向かったのは、大きな桜の木。子どもたちが次々と、横に伸びた太い枝にまたがって進みます。なだらかな丘のあちこちで、子どもたちの遊びが始まりました。誰もが、遊び始めるのです。丘の全体は見渡せないほど広く、枝や石や草花を握りしめて軽々と飛び回り、誘い合ってかけていく先にも友だちがいます。少し経つと、みんなが遊びに熱中している様子が、丘全体から伝わってきました。遊びってすごいです。子ども同士が響き合って、わくわくし続けているのですから。その後向かった中丸の丘でも、先に着いた子どもたちがお弁当の支度をしているかと思ったら、「お弁当は遊んでからにする」と言って、〝ジャングル〟と呼んでいるところへ入っていきました。しばらくすると、TAくん(4歳)の泣き声が。行ってみると、子どもたちが集まっていました。お家ごっこをしたかったTAくんと、海賊ごっこをしようと準備を始めた年長のTOくん、Tくん、KIくん、Rちゃん。TAくんのやりたいことが分かると、丸太を分け合うことにして一件落着。ところが、TAくん「海賊ごっこやりたい。」とみんなを追いかけて「いれて!」すぐに「いいよ!海賊船作るから」と返事が返ってきて、丸太運びが始まりました。他の子どもたちもどんどん加わって、中丸の丘の真ん中に、海賊船が出来上がりました。みんながみんな、海賊船ではなくて、すぐそばで、MAくん(3歳)が、程よい枝を組み合わせて、「山が出来た!」と手をたたいて喜んでいます。丘の前面の段差がある場所でも、忍者ごっこの子どもたちが、茂みの中を動き回っています。中丸の丘全体から、遊びがわき起こっていく様子に、目を奪われてしまいました。 このまま遊び続けたいだろうな、と思いましたが、帰りの時間が近づき、丘の真ん中で遊んだ丸太を、ひとつ残らずジャングルの中に戻す作業に掛かりました。みんなで力を合わせて、あっという間に後片付けが終わり、今日一日の遊びの余韻を味わいながら、山道を下って、もうひとつ向かいの丘を越えて帰りました。このワークショップの時間は9時から4時間半、このくらいの時間があると、初めて会った子ども同士が、打ち解けていくのではないでしょうか。改めて安心して遊べる場と時間の必要性を実感しました。 

ページtopへ戻る

Square_wht_Right.png過去の森のようちえんワークショップ便りは以下よりご覧頂けます。

第22回 / 第21回 / 第20回 / 第19回 / 第18回 / 第17回 / 第16回 /第15回 /第14回 / 第13回 / 第12回 / 第11回 / 第10回 / 第9回 / 第8回 / 第7回 / 第6回

--------------------------------------------------------------------

もみの木便り

LinkIconClick to Go

森ずかん

LinkIconClick to Go

もみの木ギャラリー

LinkIconClick to Go

メディア紹介

LinkIconClick to Go