ワークショップ第10回 / NPO法人 こどもの広場もみの木

冬のはじまりをご一緒に vol.1

2012/11/29

舞岡公園はすっかり冬支度を終え、静かな冬のはじまりです。この季節に「森のようちえんワークショップ」を開くのは、初めてです。これまで秋は11月10日前後に開いてきたので、3週間違うともう季節は冬です。今日から始まる冬のワークショップ、毎日ご参加くださる皆さんをお迎えしての5日間が、実り多き日々になりますように。
今回、皆さんをお迎えするのは、2歳から6歳の21人の子どもたちです。年齢構成は2歳3人、3歳8人、4歳2人、5歳6人、6歳2人(11月末現在)で、一番小さい人を真ん中に、密接につながり合ってふっくらした人間関係をつくっています。
今月から入園した子どもがふたり、ひとりは3歳、もうひとりは10月末に2歳になったばかりで、生まれて初めてお母さんのもとを離れ、子どもにとっての社会生活に一歩踏み出したところです。子どもは子どもを見ています。子どもへの関心は、子ども同士が互いを育てあう力となっていきます。このワークショップでも子ども同士が出会って生まれることが、たくさんあるでしょう。そのひとつひとつを楽しみにしていきたいと思います。
さてこの森のようちえんワークショップは今回で10回目となり、前回(今年6月)の最後に、このワークショップの趣旨を次のようにお伝えしました。
「子どもは本来、自然なものです。ところが現代の育児状況を見ると、子どもは生まれた瞬間から自然から遠ざけられて育てられてはいないでしょうか。大人に保護される時間・空間が圧倒的に増えて、子どもは大人の人為的な分厚い壁で守られ、自然と触れることさえ制限されています。野山で過ごすと必ず出会う土と水と太陽と風と雨と虫…これらは子どもにとって「汚れる・危ない」ものとされてきたのかもしれません。幼児期は子どもが自分の持てる力を使って生きていく人生の出発点です。そんな子どもたちを、分厚い保護壁から身の回りにある自然の恵みの中に解き放してみませんか。子どもはひとりで立って歩み始めるはずです。こうして子どもを知り直していく楽しみを…と願いながら。」
この6月に続き、今回もここから始めようと思います。今週になって舞岡公園の紅葉は真っ赤に色づきました。ぜひ皆さんをご案内したいと思います。子どもたちの落ち葉の遊びも始まっています。寒さを感じながらも、子どもたちは身も心も動かして遊ぶことでしょう。そんな子どもたちとご一緒に楽しみましょう。

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からだが動き出す Vol.2

2012/11/30

ワークショップ初日、5組の親子を迎えて幕開けです。1歳から2歳7ヶ月の子どもたち6人、みんなはじめての参加です。もみの木園の子どもたちも全員揃って、みんな何だか張り切っていました。出発です。階段を登っていくとばらの丸橋、その橋を渡るとみんなが思い思いに駆け出します。ゆるやかな下り坂だからでしょう。そして三叉路につくと、みんなの目が遠くに見える燃えるような真っ赤なもみじをとらえ、惹きつけられるようにもみじの広場に向かいました。いつものようにリュックを置いて、もみじの木の下で遊ぶことにしました。もみじの木の下に立って上を見上げる子どもたち、地面はもみじの落ち葉でいっぱいです。向こうの斜面では、「葉っぱのプールつくろう」と落ち葉集めが始まりました。そのうちに斜面の下の森の道に続く道へと、子どもたちが動き出しました。ひとりが行くと、次々にそちらへ向かいます。小さい子どもは、途中まで行っては戻ってきて、また誰かと連れ立って森の道の入り口まで行けるようになりました。ほとんどの子どもが走っています。からだが思わず動き出して、弾んでいます。子ども同士が、互いの動きに響きあっているように見えます。大きい子どもたちが次々と、斜面の石垣から飛び降り始めました。これは相当の勇気が必要で、全身の集中力を高めて思い切り飛ばなければなりません。自分で思い切るタイミングを計って、じっと立ち尽くす人も。Yくん(5歳)が「飛ぶまでこわいけど、飛んだとき、すごく気持ちいい」とやり終えた気持ちを教えてくれました。大きくなった人だから味わえる感覚でしょう。
もみじの広場での遊びを終えて向かった田んぼでもまた、子どもたちの響きあう姿がたくさん見られました。田んぼではお弁当を食べたあとのひととき、「さあ、遊ぶぞ!」とさらに気持ちが充実して、からだの動きも伸びやかです。あぜ道をどんどん駆け回る子どもたち。あっちからもこっちからも、途中で出会うと何やら合図をしあって、また駆けていきます。小川へ向かった子どもたちは、向こう側へ飛び越えていきます。橋に腹ばいになって小川の中を覗き込んでいる子どもたち、日当たりのいい原っぱには、ごろんと仰向けに寝転がる人たちが…。なんて気持ちよさそうなんでしょう。そばにいた人も思わずごろん、またひとりごろん、あっちでもこっちでも、ごろん、ごろん、と草の上で響きあっていました。木登りを始めた人を見つけてやってきた人の堂々とした姿、「私もやりたい!」と声が聞こえてくるようでした。ポカポカ暖かな原っぱから出てきたテントウムシがHちゃん(3歳)の指に止まると、みんながやってきて、ちいさな虫を見つめ合っていました。そしてそっと自分の指先でテントウムシを触ろうとしたり…ここでも子どもたちの気持ちが響きあって<わくわくする時>を共有しあっていました。 

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子どものからだ Vol.3

2012/12/2

2日目はもみじの広場から田んぼ、そして中丸の丘へ向かいました。もみじの広場は昨夜の雨で、一面に積もった落ち葉がしっとりと濡れて赤や黄色に染まり、昨日と趣が違います。このもみじの広場は、春から秋までは通り過ぎることが多く、子どもたちにとって遊び慣れた場所ではありませんでした。これから冬に向けて落ち葉に埋もれて遊ぶ場所なのです。子どもたちはどこででも遊べますが、時間をかけて遊び込んで、そのフィールドを熟知していきます。このワークショップでは、参加者の子どもたちが初めてでも、自然に触れて自分自身の感性を動かしていけるように、子どもを見て動き出したくなるような、子ども同士の影響力に大きな期待をかけています。子どもからの出発です。
ばらの丸の丘から田んぼに下りたところで、Kくん(2歳)があぜ道に横たわっていました。最初は転んだようですが、そのまま地面にからだを添わせてじっとしていました。ほっぺを地面につけたその表情は、地面から「何か」を感じ取っているかのようでした。転んだことを乗り越え、大地と一体になる感覚を味わって、気持ちを切り換えた子どもの感性に触れたように感じました。
中丸の丘からの帰り道、下りの階段は段差が急で、小さい子どもたちは大きい人と手をつないで支えてもらいます。初めてこの階段を下りるMちゃん(2歳)は、お母さんの手に頼らず自分の力で一歩一歩下りて行きました。からだが倒れないようにバランスを取って、しっかりとした足取りでした。3分の2まで下りた所で、お母さんの手を自分から求めました。自分で納得出来たのでしょう。この求めにお母さんがすぐに応えたことも大事だと思いました。2歳の今、最後までひとりでがんばらなくても、自分で「ここまで」と決めたのですから。
彫刻家の佐藤忠良さんの記事に「あらゆる生物は、地軸と闘っています。倒れまい、崩れまい、落ちまい、と。人間だって、足の指でしっかり地球をつかんでいる。」という一文があります。裸足で地面に立つとその感じがよくわかります。Kくんは、転んで地軸と闘うのをやめて横たわったときの安定感を味わったのでしょう。転ぶ手前までは、地軸と闘っていたはずです。Mちゃんは、急な山道の階段を下りていくとき、実は地軸と闘っていたわけです。今日も木登りをしていた子どもがいましたが、自分のからだを腕で引き上げ足で支える動作は、すべて地軸との闘いです。言ってみれば幼い子どもたちが、地球と格闘しているわけです。幼児期は、からだのそんな感覚を拓いていくときなのでしょう。平らな道より少しでも高い所を歩きたがるのも、その表れだとすると、ひとりひとりのやらずにいられない頼もしい格闘を、心から応援したいと思います。

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王さまのお通り! Vol.4

2012/12/3

今日の参加者の皆さんは、これまでワークショップに複数回、参加くださっている方ばかりでした。久しぶりに大きくなった子どもたちと出会え、嬉しくなりました。もみの木の子どもたちも「大きくなったね」と言って頂き、ちょっと誇らしげでした。さて、もみの木の子どもたちは、このワークショップにどう臨んでいるのでしょうか。次のエピソードから考えてみます。
初日、もみじの広場で、Nちゃん(3歳)が、参加者の方々のそばで、楽しそうにお話しして過ごしていました。しばらくして私の所にやってきたNちゃんが言いました。「Nちゃん、つかれちゃった」と。次の日の朝、Nちゃんは「今日は行きたくない」と言ったことをお母さんから伝えられ、小さいながらもワークショップの参加者の方たちと一緒に過ごすことに、意識を高めていたのだと思いました。そういえば、このところリュックを背負わないで、すみれぐみの人たちに持ってもらっていたEとRくんとNちゃんの3人は、この3日間、行きも帰りも自分で背負っています。そこで今朝、出発のとき、Nちゃんに「Nちゃん、今日もお客さんが大勢、遊びに来てくれたね。Nちゃんは心配しないで、いつものように遊んでね」と伝えると、にっこりして「Nちゃんのお母さんも、そう言ってた」と言いました。このやりとりをしただけで、きっと今日は、いつものように遊べるだろうとほっとしました。お客さんを迎えることを喜びながら、いつもと違う人の集まりの中で、行動を起こしては戸惑っていたのでしょう。これもその人らしい感じ方であり、このようにNちゃんのことを知ることが出来たのです。
一方、もみの木で一番小さいKくん(2歳)、今日は、一番大きいHとTちゃん(6歳)のふたりに両側から手をつないでもらって、あぜ道で遊び、帰り道は、YくんとKくんに手をつないでもらって、田んぼからばらの丸の丘へ向かいました。先頭グループは、すでにばらの丸の丘に到着。待っても待ってもKくんたち3人組は、やってきません。到着組が見に行くと、やっと3人の姿が見えたと報告が。またしばらく待ってついに3人登場。3人がっちり手をつなぎ、真ん中で満ち足りた笑顔のKくんが、小さな王さまに見えました。私が「王さまのお通り~」と高らかに言うと、面白くなった子どもたちが、王さまを囲んで行列を作り始めました。3人が遅かったのは、Kくんが階段の一段一段で石を見つけるたびに、ひとつひとつ手に取って見るのだそうです。それに付き合い続けたふたり。ばらの丸の丘で、3人を待って迎えたみんな。小さな王さまがにこにこ笑うと、みんなが嬉しくなります。すぐそばで、2番目に小さいRくんが枝をいっぱい手に持って、笑顔で堂々と立っていました。


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寒い! Vol.5

2012/12/4

やはり冬の始まりでした。今日は、これまでにない寒さのなかで過ごしました。
子どもたちが選んだ遊び場はくり山。田んぼの井戸の上にある山です。小さい人たちは登れるかしら?と、ちょっと心配でしたが、行ってみることにしました。登り口に着くと、一年ぶりに再会した今日の参加者のYくんが、細い山道へ向かうその姿を見た瞬間に、突然一年前を思い出しました。この道で先頭争いをしたYくんとHとTちゃんのことを。(詳しくはHPPlain_wht_Right.gif2011年秋のワークショップ便りvol.6をご覧ください)一年経って3人はともに6歳になり、再びくり山に向かいました。今日は先頭争いも起こりませんでした。一年前の一回の出来事を子どもたちはもう忘れてしまったでしょうが、大人は覚えていられて幸せです。今日ここで、Yくんのお母さんと一緒に思い出せて、嬉しさが込み上げてきました。
さて登ってみると、藪が迫り険しい道で、頂上もうっそうとして、楽しくなるような空間ではなさそうです。それでも一緒にいる人との関係を頼りに出来ると、そこで何か「遊び」が生み出せるかもしれないのですが、初めての小さい子どもたちは、心細くなってしまったのでしょう。また、くり山に登った頃から、しんしんと冷え始め、その寒さも力を失わせたのでしょう。お母さんと一緒に一足先に田んぼへ戻って頂きました。残った子どもたちは、寒いのですが、枝打ちした木々や草がうず高く積み上げられた場所に、よじ登って遊びました。「遊び」がどのように始まるのだろう…といつも興味深くて見入ってしまいます。中には「見ている」だけの人もいます。どんな顔してるかな…とひとりひとりの表情に目を留めます。ひとりひとりの「その人自身の時間」が同時進行で流れていきます。その「時間」の優劣など存在しません。その人と人との間に生まれる「共感」が、その人たちの「時間」の質を変え、豊かにしていきます。
お弁当は田んぼの東屋とその前の原っぱで。お弁当を食べるときは、本当に寒いのです。寒さに耐えながら食べます。子どもたちは、早々に食べ終わると、すぐに遊び始めました。寒いから走る…次々と田んぼのあぜ道を駆け回ります。さまざまな走る遊びが生まれるのを、目の当たりにしました。小さい人も大きい人も一緒に走っています。追いかけごっこ、不思議なものになり切って○○競走…走るだけでなく、あぜ道のあちこちで寝そべったり転がったり…驚くばかりの午後でした。
いつも子どもたちは、お弁当のあと気力が充実して遊びが発展します。遊びは決して大人が与えられるものではありません。今日の寒さのなかで、自ずと走って遊ぶ子どもたちを、大人たちがみんなで、ひとりひとりを発見して面白くて見守っている…という関係性がいいなあと思いました。

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自然のなかで Vol.6

2012/12/5

今日はワークショップ最終日、6組の参加予定者のうち4組の方々が欠席でした。大人の参加者おふたりをお迎えして、一日が始まりました。今朝は、始まる頃には雨はやんでいましたが、全員がレインコートを着て集まりました。まず向かったのは、けやき広場。大きな大きな水たまりが見えると、子どもたちは惹きつけられる様に水たまりに入っていきました。そこでしばらく遊び、レインコートは水たまりですっかり泥んこに。着替えを済ませたあと、雨が降っていたわけではないのですが、万が一降ってきた場合を考えて、お弁当を食べに瓜久保の家まで歩きました。このワークショップ期間中、一番遠くまでの往復でした。
この森のようちえんワークショップは、2007年より始まり翌年まで年一回6月に開いて来ましたが、2009年からは春と秋の年2回開催、ちょうど10回を重ねました。今回は秋ではなく冬のはじまりを子どもたちと体験していただきましたが、いかがでしたか。全日程を終えて、何よりもご参加くださった皆さんとご一緒につくった毎日に、心から感謝申し上げます。一番寒かった12月3日、参加者の中で2番目に小さい1歳半のKくんが、終始ご機嫌で、田んぼのあぜ道を満ち足りた笑顔で、どこまでもどこまでも歩く姿を見ながら、この小さい人が自然のなかで、こんなに楽しめることに感動を覚えました。大人もあぜ道を歩いて、味わって見るべき価値があると感じました。
子どもは喜びを、自分で(内発的に)、どんどん膨らませる力を持っています。どんなに小さくても自分の持てる力を使って、喜びを生み出していけるのです。自分の持てる力は、それまでの経験の中から導かれているものです。さらに、その喜びをまわりの人たちとも分かち合えるのですから、子どもってすごいです。
このワークショップで子どもを知り直していく出来事が、たくさんありました。
また子どもは、日々刻々と育ち変わっていく存在ですから、子どもが育つ道すじを知るには、子どもを見ることからだと思います。そして「子どもは本来、自然なもの」という人間の土台を知るためにも…。
この5日間に出会った虫は、テントウムシ2匹、カマキリ1匹、死んだカマキリとツユムシ2匹ずつ。そしてカマキリの卵ひとつ。もっと探せば見つけられたかもしれませんが、賑やかな6月のワークショップとは大違いです。自然のなかにいると、目に見えない生命力を感じます。自分が見て知っていることなど、微々たるものです。そんな自然の営みを感じる力を萎えさせないように、子どもたちと自然のなかで過ごす毎日を大切にしていきたいと思います。



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Square_wht_Right.png過去の森のようちえんワークショップ便りは以下よりご覧頂けます。

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