ワークショップ第9回 / NPO法人 こどもの広場もみの木

雨もまた楽し Vol.1

2012/06/16

ワークショップ直前の週間天気予報を見ると、なんとワークショップの5日間が全部雨になってしまいました。
こんな梅雨の時期に開催していれば、間違いなく雨になると思いきや、これまで5年間で雨の日は
一日しかありませんでした。ワークショップは雨が降らないと思い込んできましたが、
今回は毎日雨のもようです。参加者の皆さんは、お困りではないかと気掛かりです。

もみの木園は園舎を持たない森のようちえんです。
初対面の方から必ず聞かれるのが「雨の日はどうしているのですか?」ということ。
台風のような嵐でない限り、雨の日もカッパを着て活動しています。気象も自然の大事な要素です。
子どもたちは、雨、風、暑さ、寒さを丸ごと受けとめて、四季をめぐります。
この5月には、これまでになく雷雨に見舞われ、古民家やあずまやで雷が通り過ぎるのを待ちました。
雷雨という自然現象を目の当たりにしたとき、子どもたちは一番小さい人たちを囲み、
互いにからだを寄せ合って怖さに耐えていました。こんな経験をしたおかげで、
子どもたちはよく空を見上げて雲行きを見るようになりました。風の吹き方にも敏感です。

今回の森のようちえんワークショップで皆さんをお迎えするのは、2歳から6歳の18人の子どもたちです。
年齢構成は 2歳3人、3歳5人、4歳6人、5歳3人、6歳1人(6月現在)で、
小さい人を真ん中に大家族のきょうだいのように暮らしています。
4月に新しくスタートした子ども集団ですが、お互いのことがわかってきてよく遊んでいます。
そして皆さんと過ごすワークショップの5日間を、みんな楽しみにしています。
雨の中で、どんな遊びが始まるのでしょうか。  

~あめのひ~

あめのひも かっぱきて 
げんきに でかけるよ。
リュックカバーつけて ぼうしかぶって
ながぐつはいて あめのなかをあるく。
あめのひも たのしい。
みずたまりで バシャバシャ あそぶ。
みずたまりとびも する。
あついひ、かっぱを ぬぐと
すずしくて きもちいい。
(2011年度「もりずかん」より)

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はじまり、はじまり! Vol.2

2012/06/17

ワークショップが始まりました。やはり雨でした。
参加者の皆さんも雨具の身支度をして集まってくださいました。
おそらく雨の舞岡公園を歩くのは、初めてだったのではないでしょうか。
お母さんたちは不安ではないかしら?子どもたちは大丈夫かな?と心配になっていましたが、
今日が楽しい一日になりますようにと祈りながら、はじまりの声を掛けました。

歩き始めるとすぐに、もぐら塚を見つけたり、枝や葉っぱを手に取ったり…
子どもたちの心が動き始めたのがわかり、ほっと一息。
その上、TAちゃん(5歳)が「さくらなみ池を通ってかっぱ池にいこうよ。」
と道を指し示してくれたので、向かう方向がわかってみんなの足取りも軽くなりました。
そのとき、Hちゃん(3歳)が勢いよく駆け出して、みんなの先頭に立ちました。
I(2歳)も後を追います。互いの動きをキャッチし合って呼応する動きを見るたびに、
なんて子どもらしい力なんだろうと感じます。

子どもたちは、毎日、人と呼応し合って行動を共にしています。
心もからだも一緒に動き出す感覚を思う存分味わっているのでしょう。
大人の私たちも、そんな感覚を呼び起こしていきたいとよく思います。

ばらの丸の丘まで来ると雨がやみ始め、子どもも大人も明るくなってきた空を
見上げてうれしそうです。さくらなみ池ではまた少し降り始めましたが、瓜久保の家に
着くと、すっかり雨があがりました。そして待望のザリガニ釣りのときは、カッパも
脱いで みんなやる気満々。昼までにたくさんのザリガニが釣れました。

雨の日はおやつやお弁当を食べるとき、カッパの脱ぎ着や荷作りにたいへん時間が掛かります。
ひとりで出来る子どもは、自分のことを一生懸命やって精一杯です。
小さい子どもたちは、ひとりひとり手伝って身支度を整えていきます。
時間が掛かるのですが、この時間の掛かり方が子どもたちの現実であって、
ごちゃごちゃ混乱しながらも、少しずつ片づいていくプロセスが大事だと思うのです。
やがて全員がカッパを着て、リュックを背負って長靴をはいて揃って立ち、
岐路に向かうとき、身支度完了のうれしさが込み上げてきます。
これは大人が味わっているだけかもしれませんが、子どもたちも自分たちのことですから、
やり遂げた実感はあるでしょう。しかし次の瞬間、目の前に広がる帰り道に遊び心が動き出すといった感じです。

こうして今年のワークショップが始まりました。雨と歩いた道と池と大きなかたつむりと
ミミズとザリガニとおやつとお弁当と…出会った子どもたちと大人たちが一日一緒に
見たものは、まだまだ数え切れないほどありました。一日って、なんてたっぷりしているのでしょう。
また明日も続きます。

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子どもたちの一日 Vol.3

2012/06/19

今日は野あそびの会の小学生と一緒に活動しました。もみの木園を卒園した子どもたちが地域の小学生を誘って、
学校が休みの日に毎月一回、舞岡公園で遊ぶ野あそびの会は、今年で3年目になります。
今日は小学1年から6年の24人が揃いました。もみの木園の幼児が18人、ワークショップ参加の子どもたちが6人、
総勢48人の子どもたちが一緒に過ごした一日は、おおなばの丘から田んぼへ、もみの木の田んぼの畦道をぐるり一回りして
古民家を経由し瓜久保のかっぱ池へ。長い子どもの行列でした。みんなが舞岡の自然に包まれて、思い思いにおしゃべりして
向かったかっぱ池では、ザリガニ釣りと小学生が木にロープをかけて作ったブランコ遊び。昼までゆっくり遊びました。

2歳から12歳の子どもたちが、かっぱ池のまわりに一緒にいて、このときの主役は何と言っても次々に釣り上げられた
ザリガニでした。小さいのから大物マッカチンまで、みんなの目がザリガニに注がれていました。
どの人も釣れた瞬間、喜びを全身で表し、この喜びを与えてくれるザリガニに感謝したくなりました。

遅れて瓜久保の家に行くと、板の間の隙間が見えないほどくっつき合ってのお弁当。
大人の参加者の方々に「狭苦しくてごめんなさい」と言おうとしたとたんに、その光景の和やかさが伝わってきて
言葉を止めてしまいました。今日の一日を共に過ごす人たちの、お互いへの気持ちがつくった<場>だと感じました。
これは言い換えれば<社会>のかたちにも通ずるものではないでしょうか。子どもを取り巻く社会環境が、
こんな和やかさを持っていればいいなと思いました。

さてお弁当が終わると野あそびの会とはここでお別れして、もみの木園は帰り道を行きます。帰り道は、疲れているはずなのに
みんなからだを弾ませて歩き、手をつないで人とつながり合っていくことが楽しくて仕方がない様子でした。
子どもたちの一日は、朝から一緒に歩きながら親しくなって、一緒にいることがうれしい、うれしさが共鳴しあう間柄を築いて
いったのでしょう。たった一日で、手と手をつないだときの気持ちよさを共感しながらの帰り道、子どもたちってすごいですね。
参加者のお母さんの「歩いているだけで楽しいです!」との声に「私も!」と共感の気持ちが広がりました。

その後、さくらなみ池でヘビ(ヤマカガシ)を見ていたとき、手をつないだ心地よさを味わいながら、
小さな冒険をしてきたふたり。手を離したことを後悔して座り込んでしまったTEちゃん(5歳)。
しかし戻ってきたふたりをみんなで迎え、「よかった!よかった!」とみんなが喜び、
色々あってもお互いを引き受けあって今日の一日が終わりました。

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コジュケイにあった! Vol.4

2012/06/20

ワークショップ3日目、台風が来ているというのに、保育時間の間は雨が降りませんでした。
天が小さなお客さんたちを見守ってくれているのでは、と思いたくなります。
ワークショップ参加の皆さんには、舞岡の田んぼを見て畦道を歩いていただきたくて、
今日もまずは田んぼへ向かいました。

もみの木の子どもたちが田植えをして3週間目、稲もしっかり育っています。田んぼに
毎日通うと、毎日新しいことが起こり、何かが変わっていきます。子どもたちのからだと
一緒です。子どもも自然と足並みをそろえて育っていくのです。

今日は、いろんな珍しい生きものに出会えました。まず畦道にとまっていた大きなトンボ(たぶんミルンヤンマ)を、
Yくん(5歳)が捕まえました。黒の体に黄色の筋模様が美しく羽も黒々した立派なトンボでした。
子どもも大人も手に触れてみたくて、代わる代わるそっと手を出していました。

少し行った古民家の門の近くの地面で、交尾しているアカスジキンカメムシを見つけたのは、TEちゃん(5歳)。
最初TEちゃんは、踏まれては困るので、そばにいる人たちの足を払っているうちに、たちまち子どもたちの輪が出来て、
みんな地面にぐんと近づいてアカスジキンカメムシを見始めました。大人も子どもたちを囲んで、やはりみんなで見ています。
見ているうちに触りたくなるものです。でも素手ではちょっと怖いのでI(2歳)が枝を持ってカメムシに接近しようと…
「結婚してるのだからそっとしてあげて」「触ったらだめ」といろいろ言われて触るのをあきらめました。
さっきのトンボは触ってもよかったのに、このカメムシはだめとはややこしいことですね。生きものとの出会いは子どもたちを
わくわくさせます。見て触って確かめたいことだらけなのでしょう。新しいものばかりでなく、見慣れたものも何度でも
出会い直していくのです。

さてアカスジキンカメムシの次に現れたのは、コジュケイでした。これを見つけて知らせに来てくれたのは、Hくん(6歳)。
水車小屋へ向かう道でした。Hくんが「人が近づいても逃げないよ」と言うので、みんなでそろりそろりと近づいてみました。
コジュケイです。茶色のきれいな色合いのウズラくらいの可愛い鳥です。コジュケイはキジの仲間でけたたましい声で鳴くので、
泣き声だけは毎日聞いています。でも姿を見るのは一年に一度あればいいほど。今日は子どもたち全員が、生まれて初めて
コジュケイの姿を間近で見ることができました。

トンボ、アカスジキンカメムシの交尾、コジュケイ、それから延々と続くアリの行列、そしてかっぱ池で釣ったザリガニ…
子どもたちは生きものと出会うたびに「いのち」を感じていることでしょう。自然と共に生きる力は、「いのち」を
慈しむことからだと思います。


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いのちと欲と Vol.5

2012/06/21

台風一過、森の道には吹き飛ばされた枝がごっそり積もって、昨日と風景が違って見えるほどでした。
風は強いものの、今日は青空の下で集まることが出来ました。

今朝も子どもたちは、虫取り網やザリガニをすくう網を持ってやってきたので、少し相談して
今日もかっぱ池へ向かうことにしました。

歩き出すとたちまち探索活動の始まりです。大きな苔むした石は、どうやらダンゴムシのすみかのようで、
誰かの「ダンゴムシ!」の声にみんなが集まってきました。子どもの目がものを見ようとするとき、ひとりひとりの見え方、
ペースの違いを大切にしたいと思っています。と同時に子ども同士が、互いに響きあって見ようとする場がつくられるのが
保育の時間であり、この時もダンゴムシを見ようとする力が子どもたちの間に響きあって、いっぱい見えてきました。
おもしろい体験です。
さて今日のお便りのタイトル「いのちと欲と」について、あるエピソードからお話しします。昨日のお便りの最後に
書いたことの続きになりそうです。

帰り道、さくらなみ池を泳ぐヤマカガシを見た後、Hくん(6歳)が、小さな魚を捕まえました。みんなに見せたくて
手に握って土手を上がってきたのですが、手から魚を落としてしまいました。地面の土や草に紛れた魚を懸命に捜し、
やっと見つけて池に戻そうと走り出したとたん、転んでまたもや魚を手放してしまったのです。何てことを…!
彼は目の色を変えて地べたに這いつくばって魚を捜しました。もう今度は見つからないなと思ったら、
私は無性に怒りが込み上げてきて、「あなたが手に持ったために魚を死なせてしまったのよ。こんな取り返しが
つかないことをやっていいと思ってるの。子どもだからって許されないことだから!」と言った直後、「あった!」と
Hくんは魚を見つけ出し、大慌てで池に逃がしに行きました。よかった…!「H、えらいね。よく見つけたね。
すごい、すごい!」と私。危機一髪、魚を救い出すことが出来ました。

保育後、この出来事を考えていくうちに「いのちと欲」という言葉が浮かんできたのです。子どもは生きものを見たとき、
その「いのち」を感じているはずですが、見ているだけでは物足りず、手で触ってみたくなり、手の平にのせてみたくなります。
これを子どもの探求心とか意欲と見るならば、昨今、このプロセスに意図的に導く必要を感じるほど、欲の弱い子どものことが
気になっていました。子どもの主体が育つということは、欲に溺れることなく自分を律していくこと。
欲しがる気持ちが強い人も弱い人も「いのち」を粗末にしてはならないことを、もっと約束していかなければ
と思うのです。幼さゆえ気づかないこと、力及ばぬことがあるのですが、そんなことを子どもたちともっと考えあいたい
と思いました。 

子どもと楽しみ子どもを知る Vol.6

2012/06/22

今日、今回のワークショップの全日程を終えました。初日と最終日の今日、雨に降られました。特に今日は、
1歳後半から2歳の子どもたちが一緒で、途中から降り出した小雨の中を、みんなよく歩きました。

あるお母さんが、「雨に濡れて歩くのは久しぶりで気持ちがいいです。」と伝えてくださいました。
田んぼから瓜久保までの道のりは、小さい子どもたちには遠かったと思います。もみの木の子どもたちも
「あともうちょっとでつくよ。」と励ましていました。もみの木園では、雨の日は瓜久保の家に行かなければ、
お弁当が食べられないこともあって、2歳から瓜久保まで往復するのが当たり前になっています。
まだよちよちした足取りでも、一歩一歩進んでいく姿をいつも感心して見ています。毎日子どもたちは、
どのくらいの距離を歩いているのでしょうか。

<行って帰ってくる>道のりを歩くことが重要な任務なのです。昨日参加してくれた女の子が、帰り道に
「この道を毎日歩いているの?大変だね。」と言った言葉通り、本当に小さい子どもたちには大変な道のりです。
急な山道を自分のからだをヨイショヨイショと持ち上げて歩き、ハアハア息を切らせて苦しそうです。
それでもみんな歩きます。手をつないで励ましあって歩きます。歩きながら遊び、遊びながら歩いていきます。
大変だけど一緒に歩く楽しさを味わっているから、また明日も歩き出すのでしょう。
大袈裟かもしれませんが、苦楽を共にしている感じです。

さて参加者の皆さんとご一緒に過ごした5日間、おひとりおひとりとの出会いに心から感謝申し上げます。
2度目、3度目、4度目と回を重ねて参加してくださっている方々、再会のたびに子どもたちが成長していく
様子がうれしいです。

ワークショップ期間中、一日一日がつながっていくように、その日に気づいたことを書き記して毎日お便りを出してきました。
今日はその締めくくりとして、このワークショップの趣旨をお伝えしておしまいにします。

子どもは本来、自然なものです。ところが現代の育児状況を見ると、子どもは生まれた瞬間から自然から遠ざけられて
育てられてはいないでしょうか。大人に保護される時間・空間が圧倒的に増えて、子どもは大人の人為的な分厚い壁で守られ、
自然と触れることさえ制限されています。野山で過ごすと必ず出会う土と水と太陽と風と雨と虫…これらは子どもにとって
「汚れる・危ない」ものとされてきたのかもしれません。幼児期は子どもが自分の持てる力を使って生きていく人生の出発点です。
そんな子どもたちを、分厚い保護壁から身の回りにある自然の恵みの中に解き放してみませんか。子どもはひとりで立って
歩み始めるはずです。こうして子どもを知り直していく楽しみを…と願いながら。ありがとうございました。


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Square_wht_Right.png第6回、第7回森のようちえんワークショップ便りはこちらからご覧頂けます。

Square_wht_Right.png過去の森のようちえんワークショップ便りは以下よりご覧頂けます。


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